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不動産業に挑戦!先輩の声 vol.8
~株式会社 ミライズ 松元 俊之氏~

宮崎県で不動産業を始めたい、興味がある方へのお役立ちコラム。今回は、福祉施設と不動産業を営む松元俊之さんをご紹介します。

Q:現在までの経歴を教えてください

A:大学を出て、大手ドラッグストアチェーンに入社しました。福岡を拠点に新規店舗開業のための立地調査から開店までの業務に就いていたので実務的な不動産業との出会いと言えるかもしれません。その後、仕事でお付き合いのあった都城市の企業さんに再就職しました。そこでも10年ほど、新規店舗開発の業務にあたりました。再就職する際に不動産業に関する法的な知識が必要だと感じ、宅建士の資格を取りました。現在は、ある経緯から宮崎市内で福祉施設を運営しながら福祉に重きをおいた不動産業を行っています。

Q:開業のきっかけは?

A:私が都城市の企業に勤めている頃、母が脳梗塞を起こして体を動かすことが困難になりました。そこで母の住まいを見直したのですが、少しの段差など本人にしか分からない日常生活での大変さがあることに気付きました。障がいを持つ人が部屋を探す場合、さまざまな偏見による苦労があることも知りました。いろんな不自由さを抱えている人が安心して暮らせる住まいはどこにある?提供するにはどうしたらいい?無ければ自分でやろう!そう決めました。まずは障がいのある方のこと、介護のことを知る必要があると考え、宮崎市の障がい者施設で半年ほど働きながらの不動産業開業でした。さらにその後、グループホームを立ち上げて運営するようになりました。

Q:お仕事のやりがいは?

A:住まいにお困りだった方からの「ありがとう」の言葉ですね。

Q:お仕事で印象に残った思い出は?

A:障がい者施設で働いていた時に、精神的な障がいのある方を応対したこと。その方は、趣味の話題をお話しする時などは穏やかなのですが、気分的に落ち着かないことがあると手が付けられない状態になるのです。施設では入所者に薬の使用や抑制を行わない方針でした。その方が一度ひどく暴れてしまい、退所をお願いすることに。暴れた時に他の入所者や職員に危害が及ぶことを阻止するため、私はその方に必死に対応しました。やむを得ないとはいえ気分のいいことではありません。大変なことが起きる前に、何か他にできることがあったのではないか?と感じたことを忘れられず、福祉にせよ不動産業にせよ仕事をする上での教訓にしています。

Q:営業はどのように?

A:私が行っている不動産業は、さまざまな困難を抱えた方の住まいに関するご相談やご提供などです。インターネットを使っての情報発信も大切だと思いますが、もう少し仕事として構築していかなくてはならない部分があります。社会的に必要とされている仕事ですが、無理解や誤解も多く、ほとんど表には出せないのが現状です。県内外の行政からの受け入れ願いが入ってきて、支援団体とも連携をしながら進めていますが、今後は地域の皆さんともつながって、地域全体で福祉のまちづくりができるとうれしいです。私の夢です。

Q:不動産業を営む上で大事にしていることは?

A:お客さまに誤った情報を与えないこと。できないことをできると言わないこと。

Q:不動産開業に興味のある方にメッセージを!

A:「不動産業」とひとくくりにしますが、住まいを求める人は十人十色です。差別化を図って、他の業者さんとは違うことを探ってみてもいいのでは。不動産業は、住まいを求める方の生活や人生に寄り添う素晴らしい仕事です。豊かな地域づくりのお手伝いにもなります。私のような特徴的な不動産業者との出会いもあるので、宅建業協会の開業セミナーにも、ぜひお越しください。

松元さんが行っている「福祉に特化した不動産業」は、現代の超高齢化社会やコロナ禍を生きる私たちには必要な仕事。まちづくりに密接に関わる不動産業から福祉へのアプローチという、ご自身の経験から生まれたアイデアに感動しました。ありがとうございました。

松元 俊之

【プロフィール】
松元 俊之(まつもととしゆき)1977年生まれ。
宮崎大学教育学部卒業。
運営するグループホームで週末にはさまざまなレクリエーション活動を行い楽しいひとときを過ごすことが趣味。障がいのある方の社会的自立に向けたお手伝いができればと日々奮闘中!

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